消毒液の作り方
塩素系消毒剤である次亜塩素酸ナトリウムによる消毒は様々な細菌へ有効です。
次亜塩素酸ナトリウムは、希釈して(薄めて)使用します。
市販の塩素系消毒剤の原液の濃度には、1%〜12%程度のものがあります。下の表は、1リットルの水に加えて作る場合に必要な原液(5%と10%の場合)の量です。
作りたい消毒液の量によって、使用する原液の量が異なりますので、原液の濃度を確認してから、下記の表を参考にして消毒液を作って使用してください。
市販されている家庭用塩素系漂白剤(ハイター、ブリーチなど)の濃度は、約5%です。
消毒液の希釈方法
1.次亜塩素酸ナトリウムの原液の濃度を確認
ハイター、ブリーチ、キレイキレイ、エコライン4などなど次亜塩素酸ナトリウムの製品は様々あり、濃度も若干異なります。
スプリングの商品は12%と6%があります。業務用で使用されるもので量を必要とする場合は経済的です。
※サンラックPの場合は重量パーセント(%(w/w))です。⇒それって何?はこちら
難点は小分けで使用される場合は計算が少し大変かもしれません。
下記では12%を6%まで希釈してそれを元に解説いたします。※12%から6%の作り方は下記記載の項目4を参考にしてください。
2.目的に合わせた希釈濃度を決める
消毒対象 | 必要な濃度※1 | 原液の濃度 | 希釈倍率 | 1リットルの水に加えて作る場合に 必要な原液の量※2 |
便や吐物が付着した床やおむつ等 | 1000ppm(0.1%) | 10% | 100倍 | 10ml |
5% | 50倍 | 20ml | ||
衣服や器具などのつけ置きトイレの便座やドアノブ、手すり、床等 | 200ppm(0.02%) | 10% | 500倍 | 2ml |
5% | 250倍 | 4ml |
※1 濃度1%=10000ppm
※2 ・家庭用塩素系漂白剤のキャップの容量は通常20ml〜25mlです。容器に書いてありますので、確認して使用してください。
・1リットル=1000ml(ミリリットル)
3.希釈倍率を計算しましょう
原液の濃度(ppm) ÷ 希釈したい濃度(ppm)=希釈倍率
1%=10000ppm つまり 5%=50000ppm 6%=60000ppm
例)6%(60000ppm)で200ppmを作るなら60000ppm÷200ppm=300倍希釈
4.作りたい殺菌液の量を決めて次亜塩素酸ナトリウムの量を計算しましょう
作りたい殺菌液の量÷希釈倍率=次亜塩素酸ナトリウムの使用量
例1.)6%(60000ppm)で3L(3000ml)の200ppmを作るなら 60000ppm÷200ppm=300倍希釈
3000ml÷300倍希釈=10ml
例2.)12%(120000ppm)で10L(10000ml)の6%(60000ppm)を作るなら 120000ppm÷60000ppm=2倍希釈 10000ml÷2倍希釈=5000ml
参考とする希釈方法
500mlのペットボトルのキャップ(フタ)は約5mlの容量です。計量カップ等がない場合は、これを用いて希釈できます。
■ハイター、ブリーチ、キレイキレイ、エコライン4など原液が5%の消毒剤を希釈する場合
・キャップ2杯(約10ml)の消毒剤原液を、ペットボトル1杯(500ml)の水に加えれば、50倍希釈となり、1000ppm(0.1%)の消毒液ができます。
・キャップ半分弱(約2ml)の消毒剤原液を、ペットボトル1杯(500ml)の水に加えれば、250倍希釈となり、200ppm(0.02%)の消毒液ができます。
※消毒液の入ったペットボトルは、誤って飲むことがないないように、消毒液であることをはっきりと表示してください。
■その他消毒剤を希釈する場合
・バケツなどの容器に4で求めた次亜塩素酸ナトリウムを入れる。
・作りたかった殺菌液の総量まで水を加える。
例)6%(60000ppm)で3L(3000ml)の200ppmを作るなら次亜塩素酸ナトリウムを10ml入れた後に6Lまで水をはります。
※正確には10ml+6Lではなく、10ml+5990mlということになる。
用途 | 有効塩素濃度 | 原液の濃度 | 希釈倍率 | 希釈例 | 浸漬時間 |
水(飲料水・プール・排水)の除菌 | 0.8ppm | 12% | 約 140,000倍 | 7mL/1m3 | 3〜5分 |
10% | 約 120,000倍 | 8mL/1m3 | |||
6% | 約 70,000倍 | 13mL/1m3 | |||
食器類の除菌 (厨房の除菌を含む) |
100ppm | 12% | 約 1,200倍 | 15mL/20L | 5〜10分 |
10% | 約 1,000倍 | 18mL/20L | |||
6% | 約 600倍 | 33mL/20L | |||
生野菜、果実類の除菌 (水洗い後、浸漬) |
100ppm | 12% | 約 1,200倍 | 15mL/20L | 5〜10分 |
10% | 約 1,000倍 | 18mL/20L | |||
6% | 約 600倍 | 33mL/20L | |||
浴室・浴槽・便器等の除菌 | 600ppm | 12% | 約 200倍 | 90mL/20L | 5〜10分 |
10% | 約 170倍 | 100mL/20L | |||
6% | 約 100倍 | 190mL/20L | |||
しみぬき、漂白 (酒・果実・インク等) |
600〜2000ppm | 12% | 約 60〜200倍 | 90〜300mL/20L | 20〜30分 |
10% | 約 50〜170倍 | 100〜350mL/20L | |||
6% | 約 30〜100倍 | 190〜600mL/20L |
次亜塩素酸ナトリウムを使用する上での注意事項
どのページでも注意書きを書かせてもらっていますが知識として必ず知っておいてほしいからです。
食品添加物としての扱いですが、次亜塩素も立派な化学薬品となります。
特に次のことに注意してください。
■濃度によっては皮膚に対する刺激が強いため、手洗いなどで人や生き物に対しては使用しないでください。
■使用するときは、消毒液が直接皮膚に触れないように樹脂製(ビニールなど)の手袋を使用してください。消毒液が皮膚や衣服についた場合は、直ちに水で洗い流してください。
■使用するときは、換気を十分に行ってください。
■他の洗剤と混ぜると危険な場合があります。特に酸性の強い洗剤と混ぜると有毒ガスが発生しますので注意してください。
■次亜塩素酸ナトリウムで施設や器具を消毒する場合、濃度が濃いほど、また作用させる時間が長いほど、ノロウイルスに対して有効ですが、反面、腐食作用や漂白作用(変色する)が強くなります。上の表に示した消毒対象と必要な濃度は一つの目安ですが、消毒対象に対する影響が不明の場合は、最初は薄い濃度で試して、様子をみてください。また、使用後は、必ず水で洗い流すかふき取ってください。
■金属に対しては腐食性があるため、原則使用しませんが、使用した場合は、使用後にしっかりと水で洗い流すかふき取ってください。
■薄めた消毒液は時間が経つにつれて効果がなくなりますので、使うときに原液を希釈して必要な量だけ作り、作り置きをしないでください。
■塩素は日光によって容易に分解するので、原液は直射日光の当たるところや、高温の場所には置かないでください。